特許権・技術情報(企業秘密)等

 我が国は、国家的プロジェクトとして知的財産戦略会議を立ち上げ、我が国の知的財産活用に関する将来構想を打ち出しました。予算、法律改正、人材育成等々の諸施策が決定されました。そして、地方自治体にも政府の指導が届き始めています。また、経済情勢も上昇機運を見せています。いよいよ日本復活の時代を予感させます。このような情勢のなか、個人や法人が所有されています特許権、技術情報(企業秘密、ノウハウ)を必要とされるライセンシーの方々の増加が予測され、知的財産の経済的価値の上昇が期待されています。
 ライセンサー、ライセンシーの皆さん、知的財産を大いに活用しようではありませんか。そこでどうしても必要なのが、知的財産の「経済的評価の査定」と「契約書の作成」です。この「評価」と「契約書」こそが、知的財産活用の鍵なのです。そこで、簡単にこの二つについて説明いたします。

1 評価
  評価には種々の技法があります。ただ、全く比較の対象のない評価を必要とする場面もあり、計算過程は複雑です。ここでは、代表的な評価要領を説明いたします。

(1) コスト・アプローチ
  当該知的財産の開発及び製造に要した費用を元に計算する要領です。これは、あまり収益が期待出来ない場合、経済的評価が適当でない場合等に使用されます。

(2) マーケティング・アプローチ
  類似の製品・商品が既に市場に存在する場合には、その価格を参考とし
て計算する要領です。これは、類似の物より優れた製品等である場合、若しくは同一性能でも、より安価に製造し得る場合等、市場における有利な競争が予測し得る場合に使用するのが良いでしょう。

(3) インカム・アプローチ
  当該製品・商品の初年の売上げを予測すると共に、以後一定の割合で減収することを予測し、契約期間を通じての総収益を計算する要領です。これには、日本型の会計方式に基づく計算と、欧米式のキャッシュ・フローに基づく計算とがあります。特に、キャッシュ・フローに基づく計算方式は、ディスカウント・キャッシュ・フロー法(DCF法)として国際的に通用する評価方式です。これには、初年の収益計算に要する単価と販売総数の評価が基本となりますが、現実には手がかりがありません。そこで、各種データを活用することになりますが、正確性、多様性、適時性等の面で、ライセンサー、ライセンシー双方の納得するデータの提示が鍵となります。

2 契約書
  ライセンサー、ライセンシーが、知的財産の実施許諾、使用許諾について合意した場合には、これを契約書により確認します。この契約書の内容が、予防法務として最も重要なのです。そこで、大きく二分される契約書の形態について説明いたします。

(1) 従来型の契約書
  従来の日本型の契約書では、その基本に我が国の民法に依拠するという大前提がありましたので、ほとんどの場合、簡潔で時として曖昧な記述の契約書がほとんどでした。そして万一紛争が生じた場合には、裁判で決着をつけることを予期しています。
ア 利点
  簡潔で読みやすく、格調高い感じを受けるものが多いようです。
イ 欠点
  記述が曖昧で、言い逃れの余地を残すことが多く、紛争が生じる と、裁判まで発展して解決に時間を要します。そして、ほとんどの 場合、和解となり十分な補償が期待できません。

(2) 国際型の契約書
  全ての項目を網羅し、かつ疑問の余地のない完璧な記述の契約書です。過去に生じた紛争と将来予測される新たな形態の紛争とに対応しています。
ア 利点
  紛争が発生した場合には、裁判によるまでもなく契約書の提示のみで解決するか、若しくは、裁判になっても同じ結論が期待できます。また、契約相手が外国人又は外国法人である場合、あるいは契約相手に外国人又は外国法人が加わった場合においても、既存の契約書の翻訳で対応可能となります。
イ 欠点
  日本国内では馴染が薄く、複雑多岐な記述要領に読むことすら拒否反応を示し、内容を十分に理解しないまま契約してしまう恐れがあります。そのため、契約代理、契約書作成代理等の専門家の補佐が必要になり、若干の費用を要します。

  このように、評価も契約書も国際化を考慮する必要性が高まってきています。今後は、国際標準による評価と国際規格の契約書が不可欠となります。それらに適した専門家への依頼が最良の選択と言えるでしょう。
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